土台の平原
需要と供給、インフレ・デフレ
このクエストで晴らす霧:「物価が上がる仕組みがわからない」というもやもや
全35枚・約14分
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
「また値上げか…」——レジで、ガソリンスタンドで、電気代の通知で。そんなため息をつく回数が、最近ふえていないでしょうか。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
その値段は、いったい誰が決めているのでしょう。お店の気まぐれ? どこかの偉い人の一存?——値段が動く仕組みを、私たちはあまり教わってきませんでした。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
でも、モノの値段は、たった一つのシンプルな力で動いています。それが見えると、「値上げ」のニュースは、ため息の種から「なるほど」に変わります。まずは、その力の正体から。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
モノの値段は「綱引き」で決まる
モノの値段は、「買いたい人(需要)」と「売りたい人(供給)」の綱引きで決まります。買いたい力が強ければ上がり、売りたい力が強ければ下がる。原則は、それだけです。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
最近あなたが「高くなったな」と感じたモノを、一つ思い浮かべてください。その値上がりは、買いたい人がふえたから? それとも、売られる量が減ったから?——自分の予想を決めてから、次のグラフを動かしてみましょう。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
動かしてみると、原則が見えてきます。
- 需要(買いたい気持ち)が強まると、均衡価格は上がりやすい
- 供給(売られる量)がふえると、均衡価格は下がりやすい
- 2本の線が交わる「均衡点」で、値段と取引量が落ち着く
市場には、この綱引きで値段が自動的に決まっていく仕組みが備わっています。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
身のまわりでも、同じことが起きています。行列のできる人気店は、欲しい人が多いから強気の値づけができる(需要が強い)。豊作でとれすぎた野菜は、安く売られる(供給が多い)。値段は、いつもこの綱の引き合いの、結び目です。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
お金の価値は、一定ではない
ここまでは、一つの商品の話でした。では、世の中の「ほとんどのモノ」の値段が、いっせいに動いたら? 値段が全体的に上がり続けるのがインフレ、下がり続けるのがデフレです。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
これは、ただモノが高い・安いという話ではありません。同じ1万円で買える量が変わる——つまり、お金そのものの価値が動く、という話です。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
「物価が上がる」と聞くと、悪いニュースに感じます。でも——インフレは、いつも悪者なのでしょうか?
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
答えは、ノーです。むしろ緩やかなインフレは、経済が健康に育っているサインとされています。
経済は、少しずつ成長し続けている状態がいちばん健康的です。緩やかなインフレは、その成長をなめらかにする潤滑油の役割を果たします。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
緩やかなインフレには、こんな働きがあります。
- 消費や投資が動く:「先に買っておこう」という気持ちが働き、お金が回りやすくなる
- 給料が上がりやすい:会社の売上が伸びやすく、賃金に回りやすくなる
- 借金の負担が軽くなる:お金の価値が下がる分、ローンの実質的な重さが和らぐ
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
だから、日本やアメリカなど世界の主要な中央銀行は、物価の上がり方に目標をおいています。
日本銀行などが「物価安定の目標」として掲げる、物価上昇率
2%
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
ただし、同じ「物価上昇」でも、中身が正反対の2種類があります。
需要がけん引するインフレ
みんなの「欲しい」が経済を引っ張る。モノが売れる→会社の利益がふえる→給料が上がる→さらに買う、の好循環。政府や日銀が目指すのは、こちら。
コストが押し上げるインフレ
原材料費や輸送費など、作るコストが上がって値段が上がる。会社の利益はふえていないので、給料は上がらないのに値段だけ上がり、暮らしは苦しくなりやすい。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
では、いま日本で続いているインフレは、どちらでしょう。実は、原材料の多くを輸入に頼る日本では、円安(円の価値が下がって輸入品が高くなること)を通じたコスト側の押し上げが、大きな役割を果たしてきました。同じ「物価上昇」でも、給料の伸びが追いつくかどうかで、暮らしの実感は変わります。
(この円と海外のつながりは、投資編『為替と世界経済』でさらに詳しく扱います。)
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
逆に、値段が下がり続けたら?
一見、うれしそうな「値下がり」。けれど、世の中全体で物価が下がり続けるデフレは、経済にとって最もやっかいな症状の一つです。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
「明日はもっと安くなるかも」と、みんなが買い控える。すると——「モノが売れない→会社の利益が減る→給料が下がる→ますます買わない」。この悪循環を、デフレスパイラルと呼びます。一度はまると、抜け出すのが難しい渦です。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
日本が経験した「失われた30年」
これは、教科書の中だけの話ではありません。1990年代初頭から約30年間、日本はこのデフレ基調に苦しみ続けました。世界でも例を見ない、長い停滞です。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
その深刻さは、数字に残っています。
日経平均株価の、ピークからの下落率(最も安かった2009年)
約8割
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
下がったのは、株価だけではありません。働く人の平均給与も、1997年の467万円をピークに長く低迷し、2009年には406万円台まで落ち込みました。ピークの水準をふたたび上回るには、四半世紀以上の時間がかかっています。(出典:国税庁「民間給与実態統計調査」)
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
デフレスパイラルは、こんな順で回っていました。
- バブル崩壊(1991年)——土地や株の価格が大きく下がる
- 会社が投資を控える——「先が不安だから、いまは動かない」
- 雇用や賃金が絞られる——「コストを下げないと生き残れない」
- 家計が節約に向かう——「給料がふえないから、買い控える」
- 会社の売上が減る——そして、また会社の投資控えへ戻る
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
なぜ、これほど長引いたのでしょう。「物価は下がるもの」という思い込みが社会に染みつき(デフレ期待)、何もしなくてもお金の価値が上がるので、あえて使う・投じる理由が薄れる。金利をゼロ近くまで下げても効きにくくなる(ゼロ金利の壁)——いくつもの要因が、絡み合っていました。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
そして、潮目が変わった
2022年ごろから、日本の物価は継続的にプラスへ転じました。2023年には約30年ぶりの高さとなる3〜4%台を記録。2024年には日経平均株価が史上最高値を更新し(40,000円台)、賃金にも上昇の動きが広がっています。長いデフレ基調からの転換が進んだ、との見方が広がっています。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
実際のデータで、物価の流れを見る
言葉だけでなく、実物のデータで確かめましょう。マイナス圏に沈んでいた物価が、2022年を境にプラスへ転じた——その流れが、一本のグラフにあらわれています。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
グラフには3本の線があります。総合CPIはすべての品目、コアCPIは天候で振れやすい生鮮食品を除いたもの、コアコアCPIはさらにエネルギーも除いたものです。いちばん外側で揺れる要因を落としたコアコアが、物価の「基調(実力)」を見るのに使われます。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
今日、晴れた霧
値段が決まる仕組み
- モノの値段は「買いたい人」と「売りたい人」の綱引きで決まる
- 需要が強まれば上がり、供給がふえれば下がる。均衡点で落ち着く
- この綱引きは、身のまわりのほとんどの価格に働いている
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
インフレ・デフレの正体
- 物価が動くとは、お金そのものの価値が動くということ
- 緩やかなインフレ(年2%程度)は経済の健康サイン。ただし需要けん引か、コスト押し上げかで意味が変わる
- デフレスパイラルは抜け出しにくい。日本は約30年の停滞から、2022年以降プラスへ転じた
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
- 次に「値上げ」のニュースを見たら、需要が強いのか・コストが上がったのか、どちらだろうと考えてみる
- 総務省の消費者物価指数(CPI)の最新の数字を、一度だけ見にいってみる
- 身のまわりで最近「安くなったモノ」と「高くなったモノ」を一つずつ挙げ、需給で説明してみる
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
この学びを使う前に
※ 本記事のシミュレーションや過去のデータは、将来の結果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。