土台の平原
政府と日本銀行の役割
このクエストで晴らす霧:「政府と日銀、何が違うのかわからない」というもやもや
全37枚・約11分
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
「政府が経済対策を打つ」「日銀が金融政策を決める」——ニュースでは、どちらもよく耳にします。
でも、この二つ。あなたの頭の中では、きちんと別の顔をしているでしょうか。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
正直に言えば、多くの人にとって、政府と日本銀行(日銀)は「なんとなく、どちらも“国がお金をどうにかしている”機関」として、一つの霧の中にぼんやり溶けています。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
そう感じていたとしても、まったく不思議ではありません。どちらも日本経済を支える大きな存在で、ニュースでは隣り合って登場するからです。
けれど——この二つは、持っている道具も、立っている場所も、まるで違います。その違いが見えると、経済ニュースの霧は驚くほど晴れていきます。まずは、いちばん大きな取り違えから解いていきましょう。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
「どちらも国がやっている」——では、こう聞かれたら?
一つ、問いを立ててみます。
「あなたが払う消費税の税率を決めるのは、政府と日銀、どちらでしょう?」——そして、「住宅ローンの金利に効いてくる政策金利を動かすのは、どちらでしょう?」
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
もし二つとも同じ「国」だと感じたなら、それこそが今日晴らす霧です。
答えは、税を決めるのは政府(最終的に国会)、政策金利を動かすのは日銀。二つは、担当している道具からして、はっきり分かれています。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
日本経済を一台の車にたとえると、運転席に関わる役者は二人います。政府と日本銀行。同じ車を走らせていても、握っているものが違うのです。
政府
税金を集め、予算を組んで、道路や給付金として経済に“直接”お金を出し入れする役。財布そのものを動かす。
日本銀行(日銀)
金利やお金の量を調整して、お金の“借りやすさ・回りやすさ”を変える役。アクセルとブレーキの効き具合を調整する。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
道具が違う——「財政政策」と「金融政策」
二人が握っている道具には、それぞれ名前がついています。
政府=財政政策
政府の道具は財政政策。税金をいくら集め、集めたお金を何にいくら使うか——お金を直接、集めて配る力です。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
日本銀行=金融政策
日銀の道具は金融政策。金利や世の中に出回るお金の量を調整して、お金の流れやすさそのものを変える力です。政府のように自分でお金を配るのではなく、水路の広さを変えるイメージです。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
その財政の力が、どれくらいの大きさなのか。一つだけ、実際の数字を見ておきましょう。
国の1年間の予算(一般会計)の規模——2024年度(令和6年度)当初予算
約112.6兆円
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
これだけの規模のお金を、政府は道路や学校、社会保障、給付金といった形で、経済に直接出し入れしています。日銀の道具にはない、この「財布そのものを動かす」重さが、財政政策の正体です。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
決め方も違う——ここが、いちばん大事な分かれ道
道具が違うことは、見えてきました。けれど、政府と日銀の違いは、それだけではありません。
「どうやって決めるか」——その決め方が、根っこから違います。ここが、多くの人が知らずにいる、二人の本当の分かれ道です。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
まず政府。政府がいくら税を取り、何にいくら使うかは、政府が一人で勝手に決めることはできません。
内閣が予算案をつくり、それを国会が審議して議決する——国民が選んだ代表が「よし」と言って、はじめて動く。私たちの税金の使い道は、選挙で選ばれた人たちの手を通る仕組みになっているのです。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
では、日銀はどうでしょう。日銀も、政府と同じように、時の政権の指示で金利を上げ下げしているのでしょうか?
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
答えは、ノーです。日銀は、政府から独立した立場で金融政策を決める——これが、二人を分ける最大のポイントです。
政策金利を上げるか下げるかは、日銀の金融政策決定会合という会議で、9人の政策委員が議論して決めます。政府ではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
なぜ、わざわざ独立させているのでしょう。理由は、意外なほど生々しいものです。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
もし政治家が金利を自由に動かせたら
選挙の前は、景気を良く見せたい。だから「金利を下げてお金をばらまけ」という力がかかりやすい。目先の人気のために、お金の価値が振り回されてしまう。
だから独立させている
物価とお金の価値を長い目で守る仕事は、選挙のたびに揺れない場所に置く。日銀は政権と距離をとり、腰を据えて物価の番人に徹する。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
この独立は、法律で定められています。1998年に施行された新しい日本銀行法は、「独立性」と「透明性」を理念に掲げ、日銀の目的を「物価の安定」と「金融システムの安定」と定めました。時代とともに、お金の番人を政治から切り離す形が整えられてきたのです。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
ここまでの違いを、一枚に畳んでおきましょう。政府と日銀は、道具も、決め方も、立場も違う——けれど、目指す先は同じ「経済の安定」です。
政府|財政政策
道具は税金と予算(お金に直接さわる)。決めるのは国会の議決(民主的コントロール)。選挙で問われる。
日本銀行|金融政策
道具は金利とお金の量(流れやすさを変える)。決めるのは日銀の会合(政府から独立)。物価の番人に徹する。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
では、二人はどう連携するのか——景気の波の上で
道具も決め方も違う二人。でも、経済という同じ船に乗っています。景気が波打つとき、二人はそれぞれの道具で、同じ方向へ舵を切ります。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
まず、景気が冷え込んだとき。仕事が減り、みんながお金を使わなくなった局面です。二人は、それぞれのやり方で経済を温めにいきます。
- 政府(財政政策)——減税をしたり、公共事業や給付金を増やして、経済に直接お金を注ぐ(財政出動)
- 日本銀行(金融政策)——金利を下げて、企業や個人がお金を借りやすくする(金融緩和)
- 二つが重なり、お金が世の中に回りやすくなって、景気の底上げを後押しする
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
金利を下げてアクセルを踏む動き(金融緩和)は、一つ前の「金利と景気」のクエストで出会った動きと同じものです。今度は、それが政府の財政出動とセットで動く、と見てください。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
逆に、景気が過熱してきたとき。物価が上がりすぎそうな局面では、二人はブレーキ側へ回ります。
- 政府(財政政策)——増税や公共事業の縮小で、経済に出すお金を絞る(財政引き締め)
- 日本銀行(金融政策)——金利を上げて、行きすぎた投資や消費を落ち着かせる(金融引き締め)
- 二つが重なり、過熱した景気をゆるやかに冷ましていく
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
この「冷えたら温め、熱くなったら冷ます」という舵取りが、二人の連携です。片方だけが頑張っても効きにくく、方向がそろって初めて、経済という船はまっすぐ進みます。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
連携は、その場の空気だけでなく、文書で握られることもあります。2013年、政府(内閣府・財務省)と日本銀行は、デフレ脱却に向けた共同声明(アコード)を出しました。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
この声明で、日銀が担うと約束したこと
物価安定の目標を、消費者物価の前年比で2%と定め、その実現に向けて金融緩和を進める。
この声明で、政府が担うと約束したこと
財政の健全化に取り組み、成長力を高める政策(成長戦略)を進める。物価は日銀、体力づくりは政府、と役割を分けた。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
この2%の物価目標は、「需要と供給」のクエストで出会った、あの「物価安定の目標」と同じもの。それを政府と日銀が役割を分けて追う約束として結び直した、と見てください。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
「景気が悪いのに金利を上げる」——向きを取り違えると
二人の道具の向きは、景気の波と逆に踏むのが基本です。ここを取り違えると、良かれと思った政策が、逆に効いてしまいます。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
たとえば、景気が悪く、多くの人が仕事を探しているとき。ここで日銀が金利を引き上げてしまったら、どうなるでしょう。
企業はお金を借りにくくなり、投資を控える。ますますお金が回らなくなって、景気の冷え込みに追い打ちをかけてしまいます。景気が悪いときのアクセルは「利下げ」、ブレーキの「利上げ」は景気が良すぎるとき——向きは、いつも景気の逆側なのです。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
今回のまとめ
- 政府と日銀は「どちらも国」ではなく、道具も決め方も違う別々の役者。
- 政府の道具は財政政策(税・予算)。決めるのは国会の議決(財政民主主義)。
- 日銀の道具は金融政策(金利・お金の量)。決めるのは政府から独立した日銀。
- 独立は、目先の政治にお金の価値を振り回させないため。ただし連携もする(2013年の共同声明)。
- 景気には二人で同じ方向へ。冷えたら温め、熱くなったら冷ます。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
今日からできること
- 経済ニュースを一つ見て、それが「政府(税・予算)」の話か「日銀(金利・お金の量)」の話か、心の中で仕分けてみる
- 「利上げ」「利下げ」という言葉を見たら、いま景気は温めたい局面か・冷ましたい局面か、向きを想像してみる
- 選挙の公約に出てくる「減税」「給付」が、財政政策(政府の道具)なのだと意識して眺めてみる
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。
本コンテンツは一般的な金融知識の学習用です。将来の成果を保証するものではありません。